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Friday, June 16, 2023

......Kizugawa station, Nishinari

 


水曜日、阪神なんば線で千鳥橋へ。此花のシカクにて小川雅章さんの『Osaka Lonesome Road』を見ました。展示空間で心に残ったのは、あえて言葉にするなら、なにかを生み出す時に込み上げる「正直」さみたいな感覚でした。

2、30年ほど前の大阪にて、画家本人の生活圏で歩いて撮影されたという写真をもとに、描かれたアクリル画です。風景の記録や記憶だけに止めるのでもなく、そのままのディテールを表現することだけでもなく、足し算と引き算をして描かれたとのこと。制作中に画面上で刻々と描かれ変化する物質的な質感に、モチーフ(風景写真)が絡み合うことで生じる「正直」さが貼り付いていました。

この絵の舞台となる港湾地区は、わたしが現在暮している生活圏内でもあり、今ではすっかり変わってしまった工場地帯の風景だったり、知らない時代の見たこともない貨物線の駅や空港跡の幻影も、不思議と全て懐かしく、ひたすら絵の中にひたっていたい気分になります。おそらく相当選び抜かれた写真を構図中に構成して、絵の精密な技術と、大阪の風景に対して湧き上がるリスペクト心が絵に宿っているようにも感じました。SNSや印刷プリントの画面だけでなく、実際のオリジナル(原画)と絵を描いたご本人を前に見ることができて更に引き込まれました。