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Friday, June 2, 2023

...Taiwan

 



あっという間の二週間、滞在した台湾から西成の自室へ戻ってきました。前回の渡航はコロナ禍が始まった2020年の初めだったので三年半ぶりで、その間、自分の中の優柔不断さとつたなさを使って、なにか表現したい方法を探しているようでした。

意識して捨てた部分や忘れているようなものの中に探しているものが実はあり続けたりするんじゃないかと、作業場に在る段ボール箱や押入れから、私家版書籍やボツにしたプリントがコラージュの一枚へと居場所を置き換えている、そんな中、頭の空気も一瞬入れ換えたくて外へ出発しました。正直ギリギリまでインドのコルカタと迷いましたが、今回は体調の部分で自信がなかったので、ゆるさがある台湾へ。

待ちに待った海外撮影で、まず印象に残ったのは、台湾でもどこの外国の路上でも行ったことがある人ならわかると思いますが、基本的に他人に関心が少ない人たちが物珍しそうに?寄ってくることはあっても、大阪の西成や東京の街で最近おこられる的な神経質な反応はされないことでした。こんなことを書いていると、近頃自分は伸び伸び撮影してないなと、反省しつつ、ここ数年写真を撮ることが難しくなっていることに気付きます。もちろん技術的な意味ではなくて向き合い方といったらいいのでしょうか。

実際、この旅でも基隆や台中のローカルでは今も首輪がついてない犬と一緒にブラブラ歩けたり、あの懐かしいような新鮮な撮影の感覚が久々に甦ってきました。あと基隆の旧市街や萬華の糖廍里や台中の市場などは、まだまだ10年前の初渡航時と印象は全然変りなく、まるで80年代くらいで時が止まっているようなさびれ具合で、一昔前の日本の街頭を想わせる雰囲気に、今はなき幼少期を過ごした地元の光景や匂いの記憶を呼び覚まされ、勝手に重ねて置き換えてみたり、そんな状態で街の片隅をのんびり歩いている時間が一番おもしろかったです。

写真は見えないものを見るための方法でもあるかもしれませんが、写らないようなものを見るための旅でもあると実感します。これからも誰と競争するわけでなく、偶にはどこか外(外国)へひとり旅にひっそり出発できたらうれしいです。謝謝你と再見。