Translate

Sunday, February 6, 2022

......Taishi,Nishinari-ku

 


土曜日、昼飯の準備中、西村賢太氏訃報、思わず声が出てしまい...悲しいです。

確か十年くらい前から読んでいて、自分としては珍しく出版されたタイトルほぼ全てチェックしている作家です。当時、芥川賞受賞直後でテレビ番組に出演された折、偶々その風貌を発見し、第一印象一目ぼれでした。人相、風体、雰囲気がどこか中上健次にも似ているように感じ、興味本位で一冊手に取って(受賞作を)開いてみると、あの文体と、自分を卑下しながら、どこかユーモアのある作風に、遅読の私でもゲラゲラ笑いながら一気に読了していました。肉体労働のイメージから設定や空気感が十代の頃に読んだ中上健次の『岬』を何となくイメージしたけど、『岬』は読み終わった後泣けてきたり、登場人物の人間関係も複雑で、時間もタップリかかったので全く違いました。

あれから十年程経ち、今も時々「あぁ今日は嫌なことがあったから西村賢太読むか、」と云う感じで、寝床の中で読みはじめると、やめられない、止まらない、と吸い込まれるように朝を迎えられます。世の男の大半は?間違っても口に出せない言葉(セリフ)を文中の北町貫多(イコール西村賢太)は吐きまくって、胸がすく思いで毎回拍手喝采したくなります。そして不思議と元気が出てきます。たぶん女性は全く共感出来ない感じだと思いますが、冴えない男たちの星です。

あと、落第や中退、離別、入院、失業、、その渦中にいる時はしんどいことが、自伝や私小説では一番おもしろい部分になることを知りました。この自分の死に様をどんな小説にするか楽しみですが、それは読めないので、これまでのタイトルをまた時々読み返します。ご冥福をお祈りします。