子供の頃住んでいた広島・流川界隈の町筋、薬研掘の嘗ての実家(跡)。
最近は仕事中、車で頻繁に通り過ぎるので全く懐かしくないですが、往時向かって右から肉屋、花屋、文房具屋でした。その花屋の上で生まれ小学校3年まで家族で暮らしていました。この毎日通った通学路や裏の路地で走り回って遊んだ遠い記憶は、いまだ自分の中におぼろげに貼り付いています。
それは今「旅」の撮影中に何処かの路上を歩きながら何かを見た時にだけゆっくりと反応し始め、記憶に繋がっていくような...そんな、当時経験した地元の感覚や、すっかり忘れてしまった夢みたいな一瞬、すでに記憶からすっ飛んでしまっているディテイルが蘇ってくるような感じがします。
次の旅先は大阪に決めました。一寸迷ったけど、写真を始める以前の十代の頃から何時かはそこに住んでみたかった都市。近頃はたびたび関空からの帰途、南海線の車窓に流れる西成あたりの景色を見ながら具体的なイメージが湧いては密かに企んでいました。身辺整理を一つ一つ済ませ、少しずつ準備してきたので、やっとその時が来た感じです。
旅と移動を繰り返していくことは、自分にとって写真を見る(見せる)一番分かりやすい方法。一所に移住したらどんな眺めが見えてくるか、10年(東京以来)ぶりにそれも見てみたくて、次の一歩に向けて踏み出してみます。