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Monday, February 18, 2019

『WALK MAN'S DELHI』




 
インドの首都デリーは南北と西を新市街「ニューデリー」と東のニューデリー駅からヤムナー川までの一角を旧市街「オールドデリー」と呼ばれていた。

初めてデリーに歩きに来た私はこの「オールドデリー」で写真を写すとき何を考えてひとり歩いていたんだろうか……

狭くてきたない通り、人であふれ返る通り、ぎっしりと並んだ商店、民家、食堂、市場、屋台、露店、人と車とリキシャと荷車と…そこら中の牛、首輪のない沢山の犬、電線に猿、ごみ箱からは鼠の大群……が、ひしめきあう路上。そこら中でいろいろ事件が起こりそうな街で、私はたぶん何も考えていない。

行きかう人たちの表情や動き、通りに並ぶ看板、大音量のリキシャのクラクション、前や後ろや右や左の人たちの声、どこからともなく聴こえてくる唱え…知らず知らずのうちに街を歩くリズムが湧いてきた。

目にする人も、モノも、空気も、音も、匂いもすべてを写真にしたいと単純に思い、そして写真のことなんて、どうでもよくなる程 ひたすらブラつく快感を味わった。

どうしようもないこと、どうしようもない感情、どうしようもない生活、どうしようもない旅の途中にて、その行く末についてわけも分からず魅かれている。