グループ展に出品していることもあり四月は、東京に行きました。
会場の美術館に向かう途中、もう二十年以上昔の四月、広島から一人で上京した時のことが、ボヤッと浮かびました。
当時十五歳の自分は、東京駅から山手線で巣鴨のサッカーグラウンドを目指しました。駅から程近いそこに到着すると、その中心では挨拶しても反応のない無愛想なおじさん(コーチ)や、逆光のシルエット姿が一体となった同年代の若者たちが迎え入れてくれたことは、今もくっきり心に焼きついてます。
そのグラウンドに通っていたほんの短い期間に、思ったこと、見たこと、感じたこと、そこにはポッカリと大きな落とし穴があることも知りました。それらが、自分にとっては未経験の東京の時間の始まりでした。
その後、東京で過ごした写真との時間は全部足しても十数年間で、いろいろ解らない事の方が圧倒的に多いけど、あの頃も今も気配をたよりに、そんな「場所」を無意識に探し続けているのかもしれません。