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Tuesday, December 11, 2018

『BANANA TICKETS』


航空券を探していた。

とくにはっきりしたテーマはなく「行く/行かない」で迷ったときは、
最近なるべく「行く」を選択している。
そうしないと、どんどん動けなくなりそうな気がするから。

思いつくかぎりの経費を節約して、二週間ほとんど予定も決めず、
期間と、この町とこの町に行こう、と云うことだけで、
初めてクアラルンプールに降り立った。

木賃宿に着くとすぐに路線地図を広げ、どこに行こうか決めて、
下町から歩きながらはじめた。

連日、謎の方向(音痴)感覚に従い、通りすがりの一枚スタイルで
我を忘れるくらい夢中になってうろつき廻る。

その先へ、その先へと進む足どりは、マレー半島を列車で南下し、
ローカルをウロウロする頃には暑さと圧倒的な自然の中 ヘナヘナと
しおれ、自分にはまるで居場所がないような気分になった。


初めての南方の、初めて歩いた街中は、時に激しさや熱気もあるが、
基本的には優しい。その風景は、初めて見たものなのに、なぜか懐かしい。

喧噪とチープで下世話なモノがひしめく路上は刺激的で、何となく切なくて、
時々自分の目には色っぽく映った。

なぜかマレーへ振れた自分自身に添って、行ってしまったからには、
まだまだ歩き足りない、物足りない……

少しは誰かに伝わればいいなぁと、今さらながら思い至る。
この南方の続きは来年に。